Beyond2050では、京都大学が描く未来の社会像に対して、シンポジウムやイベント等を通じて多くの方々のご意見や想いを取り入れるように努めています。関連企画として、7月10日に京都大学 人と社会の未来研究院による「2050年以降の未来」を題材にした短歌ワークショップが開催されました。
これは、歌人の鈴木晴香さんを講師に迎え、本願寺伝道院での「TERAKOYA HONGWANJI」の講座の一つとして行われたもので、20代から60代と幅広い年代の方10名が参加されました。京都大学の研究者たちが詠んだ短歌を鈴木さんの解説とともに味わった後、2050年以降の未来をイメージして短歌を詠みました。
許諾いただきましたものを、下記に掲載いたします。
引き潮に委ねるみたいサンダルとこんな遠くへ来てしまうこと 依田口弧蓬
やがて空の見える高さで跳べるから 敗けた数だけ積みゆく煉瓦 入谷聡
二千年カウントダウン聞きながらユーとミーとは仲よく笑う 星蛾
恋だけが全てではなく川べりに四半世紀を生きる桜は 匿名希望
数十年黄色く香る寄贈書の我に届いて心がゆるむ 匿名希望
夏草の奥に童子と蜻蛉(かげろう)が見つめる池につらなる波を 森井翔太
この酷暑 死ねる 世界も焦げる 子の子の子が呪う先祖か?我ら 渡邉文隆
<鈴木晴香さんのコメント>
今回のワークショップでは、京都大学で教鞭を執った西田幾多郎、湯川秀樹、永田和宏の短歌を紹介し、その作品について参加者のみなさんと語り合いました。
短歌創作ワークショップのテーマは「2050年以降の未来」。「引き潮」「煉瓦」「二千年」「桜」「寄贈書」「波」「子」に託された、未来の途方もない遠さと可能性。1200年以上詠み継がれてきた短歌を未来へ届ける小さな営みが、2050年への入り口になるのだと感じました。
これからもBeyond2050では、多くの人々の願いや想いを取り入れながら、京都大学の英知を結集し、より望ましい未来像を明確にしていきたいと考えています。